夜眠れない、夜中に起きるなどの睡眠障害
眠れないときや、一度寝ても夜中に目が覚めてしまう、などの睡眠障害は、
治るときは治るし、
治らないときは治らない。
そして、「うつの治療」をするとともに、安心して眠れるようになっていきます。
なぜかというと、「将来への不安」や「明日が来ることへの抵抗感」など、
深層心理にある原因を「うつの治療」によって癒やすことができるからです。
私が「睡眠」に悩み始めたのは、高校3年生、つまり大学受験勉強が本格化した頃からでした。
受験勉強のプレッシャーから、半分無意識に夜中に起き出して、物を食べるようになったのです。
一旦眠りについた数時間後、台所でお菓子や菓子パンなどの食べ物を漁っていました。
そのときの意識は半分眠っているので、意志の力ではどうしようもありませんでした。
翌朝にパンやお菓子の包み紙が散らばっていることの不気味さと嫌悪感。
朝は胃もたれしているし、寝起きは悪くなるし、体重は増加するしで、その睡眠障害(と過食)のせいで自分がどんどん嫌いになっていきました。
無事大学に合格し、大学生活が始まったからといって、それは治りませんでした。
それに加えて、大学の活動で夜遅くまで起きている生活にもなり、時に昼夜逆転することも。
一人暮らしで「うつ」になり引きこもりになったときは、夜中の過食はましになったものの、生活リズムは狂ったままでした。
高校生の頃までは「朝型」の人間だったのですが、その頃は完全に「夜型」人間。
明け方までネット漬けという日もざら。
その後実家に引き取られてからも、眠れない夜が続きました。
夜に「死にたい」と思うようになったのもこの頃です。
しかし、「うつ」を治すと、それまで6年間くらい悩まされ続けていた睡眠障害が嘘のように治りました。
今では眠らないほうが難しいくらい、すこんと眠れます。
社会人になってまだ2年弱ですが、毎日23時までにベッドに入り、すぐに寝てしまいます。
うつの治療を通じて、不安や気分の落ち込みをうまく解消する術が身についたからでしょう。
それと、会社があると毎朝決まった時間に起きることになるので、そのおかげで生活リズムが整ったのもあります。
何にせよ、うつが治ると夜も眠りやすくなります。
ゆっくり気長に構えましょう。
眠れないのはなぜ?
人間、夜はネガティブになります。
なぜなのだろうと調べてみると、ポジティブ思考ホルモン(幸せホルモン)「セロトニン」が、夜は入眠ホルモン「メラトニン」に代わってしまい、セロトニンの量が減ってしまうからのようです。
「うつ」の時はそもそも幸せホルモン「セロトニン」がうまく分泌できていないですから、そのなけなしのセロトニンすらなくなってしまっては、そりゃもう果てしなくネガティブになるわけです。
つまり、人間は夜はネガティブになるようにできているのだから、一番の対策は「夜は意識を失っておく」。つまり早く寝ることです。
が、そんなに簡単にできたら苦労しません。
人間も機械みたいに自由に電源をオン/オフに出来たらいいんですけどね。
「うつ」のときに夜眠る気になれない理由として、「明日を迎えること」を拒みたいという深層心理があります。
一度眠ってしまうと、一瞬で明日が来てしまう。
明日もまた、今日と同じ憂うつな日が来るだけ。いや、もしかしたらもっと嫌なことがあるかも…という恐怖。
そして、何の価値も生み出さず、ただ毎日時間を浪費することへの罪悪感・不安・虚しさ。
「うつ」になると、「入浴すること」「部屋の電気をつけること」など、色んなことをする気力が奪われますが、この裏側にも「未来へと時を進めたくない」という心理が潜んでいます。
「入浴」は「みそぎ」ではないけれど、その日についた垢を洗い流すという、一日を終わらせることを象徴する行為とも言えます。
朝が来て家の電灯をつけることは、一日の始まりを迎えること。
そして、眠ることは、「今日を終わらせる」ことです。
眠りたいのに、眠れない。
寝る前のスマホやネットがやめられないのは、心のどこかで「明日が来てほしくない」と願っているからではないかと思います。
明日も幸せな一日が来ると確信していれば、安心して一日を終わらせられる、つまり眠れるのです。
しかし、 「明日は平穏で幸せに過ごせる一日になる」と信じろと言われても、 「うつ」患者にとっては無理な話です。
時に健常者にとっても難しいことですから。
では眠れないときにどうするか
「うつ」で眠れない夜というのは、ひどいものです。
人生に何の望みも無いように感じられてしまいます。
この世には何の救いも無いと思えてしまいます。
寂しくて、悲しくて、苦しくて、消え入りたい。死んでしまいたい。
こんな時にどうするか?
一番いいのは、「全力で現実逃避する」ことです。
夜の思考というのは、考えてもどんどんネガティブになるだけで、生産性がないものです。
だから、眠れないときに「とりあえず横になってじっとしているだけ」というのは危険です。
勝手に脳がネガティブへと突っ走り始めて、どん底の気分に陥るだけですから。
夜中に「この先の人生について真剣に考えよう」なんて絶対に考えてはいけません。どうせろくな答えが見つかりませんから。
大事な考え事は昼間にやりましょう。
眠れないのは仕方ないから、せめて「思考しないようにする」つまり「現実逃避する」のが一番なのです。
そして、現実逃避の方法は「眠くなりやすい」ものを選ぶのがいいです。
パソコンやスマホで映像を見てしまうと、光で目が冴えて余計に眠りにくくなります。
・・・でも、別に「今夜も夜通しスマホをいじっていた…」となってしまっても、大して気にすることはありません。
自分を責めることは心に毒。大きな心で許しましょう。
それに加えて、睡眠導入剤などの薬を処方してもらい、きちんと服薬するのが良いです。
もちろん、薬のおかげで「魔法のように一瞬でぐっすり眠れるようになる」ということは少ないです。
だけど、多少は眠りやすくなるので、苦しみは軽くなります。
「どうせ効かない」とはねつけては、良くなるものも良くなりません。
薬を、医療の力を軽視しないでください。
実践!眠れない夜の過ごし方
ここで、実際に私の実践した「眠れぬ夜の過ごし方」を挙げていきます。
おすすめなのも、そうでないのも混ざっています。
・抗うつ薬の服薬
高校時代に睡眠障害になって、心療科の先生に処方してもらったのが「フルボキサミン」という薬です。
のちに、副作用がより少ないとされる「レクサプロ(エスシタロプラム)」という薬に乗り換えました。
薬なくしては「うつ」や睡眠障害を脱するのはもっともっと遅くなっていたことでしょう。
・空想する
私は現実逃避するために、よくモノクロの遊園地のような世界を空想し、そこの住人たちと遊ぶ想像をしていました。
彼らは皆私のことを快く受け入れてくれ、好いてくれるのです。
空想は現実逃避するには役に立ちます。 絶望を消してはくれませんが・・・。
・動画やラジオの音声を聴く
他にも、耳にイヤホンを突っ込んで、自分が気に入っている動画やラジオの音声を流すのも、余計なことを考えずに済むのでおすすめです。
液晶(ブルーライト)を見てしまうと絶対に眠りにくくなるので、音声だけ流すのが一番です。次第に眠くなり、音声が煩わしくなって入眠できることもあります。
暗い曲や泣ける曲を聴くのはあまりおすすめしません。「しょうもなさ過ぎて笑える」ようなジャンルのものがちょうどいいです。
(動画は死にたいほど苦しい夜にもおすすめ→うつで眠れない・死にたい夜に、気が紛れる過ごし方)
・悲しみを芸術に昇華する
症状の緩和としては役に立たないかもしれませんが、いっそ「悲しみに徹底的に浸る」という道もあります。
そして、その時の強烈な感情を絵や音楽、小説などの「創作」「芸術作品」に昇華するのです。
私も絶望や死への憧れを題材にした曲をいくつか作りました。あの悲しみの夜たちがあったからこそできたものです。
しかし、奨励しているわけではありません。芸術の道はかえって人を病ませやすいですから・・・。
・体を動かす
身体が疲れたら眠りやすいかと思い、夜中に筋トレしたこともあります。確かに何もしないよりは眠りやすいです。
しかし、そもそも筋トレする「気力」がなかなか湧かないという壁もあって、実際にした回数は少ないです。
・ぬいぐるみに癒される
死にたくて、泣けて泣けてどうしようもない時は、テディベアを抱いていました。
柔らかいぬいぐるみを抱いていると、オキシトシンというホルモンが分泌されて、少し気分が和らぎます。
ぬいぐるみの柔和な優しい顔も救いになります。
私は持っていませんが、二次元キャラの抱き枕なんかもいいのかもしれません。
(くわしくはこちら→テディベアセラピーのすすめ)
・羊が1匹、羊が2匹…
羊を数えたことがあります。結局すぐには眠れなくて、結構な数まで数えました。
すぐに眠れるわけでもないし(人によっては眠れるのかもしれません)、あまり楽しくないんですね。飽きてしまって、結局空想の世界に逆戻りしがちでした。
・ネットで「眠れないとき」と検索し、出てきた対処法を実践する
他のサイトに丸投げになってしまうのですが、私もググって出て来たサイトを見ながら
呼吸法など試してみたことがあります。
ただ、当時はあまり探したり実践したりする気力がなく、「これ!」というものに出会えませんでした。
騙されたと思って色々実践するのは面白そうです。
しかし、今やベッドに入るなり一瞬で眠れるようになってしまったため、効果を試す機会がありません…。
・認知療法を試す
あまりに絶望感がひどくて耐えられないときは、夜でも「認知療法」を行いました。
やり方については別の記事で書きたいと思います。
紙とペンがあればできるので、正しいやり方をすれば気分が楽になります。
※認知療法をするならこれがおすすめ(私のバイブル):
「うつと不安の認知療法練習帳 [増補改訂版]」(D・グリーンバーガー 著/C・A・パデスキー 著/大野 裕 監訳/岩坂 彰 訳)
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極論、眠れなくてもいいじゃない
何をしても眠れぬ夜はやってきます。
「眠りたい」と思ってしまうのは仕方ない。
でも、「眠らなきゃ」というプレッシャーは投げ捨てましょう。
眠れない自分も許しましょう。
インフルエンザになると熱が出ます。これはもう、そういう症状だからしょうがない。
うつになると眠りの質が落ちます。これももう、そういう症状だからしょうがない。
症状なんだから、眠れないのが普通なんだ、と開き直っていいんです。
「寝なきゃ」という「○○しなきゃ」という思いは、心の負担となり、うつの直りを悪くします。
眠れないときは眠れないし、
眠れるときが来れば眠れるようになります。
焦らなくてよいのです。
「眠れない夜」の経験は、考えようによっては大きな「糧」となります。
今考えると、このブログを始める構想を思いついたのも、夜に悶々と悩んでいた頃でした。
眠れないときに、「うつ」は治るんだよと私を元気づけてくれる、優しく語りかけてくれるようなサイトがあったらいいのに、と。
同じように「うつ」に苦しむ人々にとって、「救いの場」となるようなサイトがあったらいいのに。
眠れなくても大丈夫。
まずは「眠ること」よりも、できることから始めればよいのです。
眠ることよりも、眠れない理由を潰していくことを先にしよう
眠れるようになること以前に、うつの治療をしましょう。
治療は、以下のように進めていくのがおすすめです。
①まず服薬で脳の働きを正常に近づけ、症状を緩和。
②そして食事の改善で脳に栄養を行き渡らせます。
(うつに食事療法って効くの?効く「気がする」だけでうつは良くなる。)
③頭が働くようになってきたら、認知療法や、このブログで紹介している様々な心理療法(要は考え方を変えること)を行う。
(うつを自力で治す方法。正しい心の休め方は、この3つを守ること。)
(エクスペクト・パトローナム!でうつ病のネガティブ思考を治そう)
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④気力が出てきたら、外出などを積極的に行ってみる。
そのうち、生活リズムが次第に整っていきます。
⑤徹底的に自分の内面の問題と向き合い、不安や憂鬱の正体を潰していく。
こういったことを時間をかけておこなっていくと、いつのまにか安らかに「眠れる」ようになるのです。
ゆっくり、焦らず。
「できるようにならなきゃ」なんて決して思わなくって良い。
少しずつやっていけば、いつのまにか眠れるようになっています。
夜は必ず明ける
どんなに長い眠れない夜も、数時間経てば必ず明けます。
どれだけ苦しくても、夜は「必ず明ける」のです。
数時間耐えれば、朝日が射します。
朝になれば、眠っていない体と心は疲れ切っていることでしょう。
仕事も学校も休んで、ゆっくり休みましょう。
「うつ」という夜も必ず明けます。
夜の闇が深ければ深いほど、明けたときの喜びは強烈です。
ともに辿り着きましょうよ。
うつの夜明けへ。