会話で家族との問題を解消して関係を深めると、うつが治る?

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お互いに対する認識が「うつ」を良くも悪くもする

今回は、親子や夫婦などのパートナー間の、お互いの認識を直していくお話です。

 

人は大人になって独り立ちすると、「親」の存在を意識することが少なくなっていきがちです。

しかし、無意識のうちに「親」に対する思いが心を重くする原因になっていることがあります。

まして、同居している親子やパートナーならなおさらです。

「私は親にこう思われている」

という思い込みや、

「私は彼に対してこう感じてしまう」

という誤った認識が、うつが良くならない原因を作っているかもしれません。

実際にはどれほど愛されていようとも、その誤解は起こり得ます。

 

 

この誤解・思い込みを正すことができれば、「うつ」が劇的によくなることがあります。

そして、生まれ変わったように生きやすくなります

 

 

私は大学時代、親のすねをかじりながらも一人暮らしをさせてもらっていました。

そして、一人の部屋で「うつ」になり、うつを悪化させていきました。

ずっと一人でいたにもかかわらず、私の「親に対する認識」は、うつの悪化の原因のひとつになっていました。

「こんなダメな私を親は絶対に受け入れてくれない」

という思いが、私を激しく苦しめていたのです。

 

しかしその後、実家に連れ戻されてしばらくして「こんな私でも愛されるんだ」と知った瞬間がありました。

その瞬間から、「うつ」が見る間に良くなっていったのです。

 

「誤解」「思い込み」が生まれるのはなぜ?

なぜ思い込みが生じてしまうのか?

それは一言でいうと、会話不足です。

 

 

「うつ」というのは傍目からは分かりにくいので、

本人が何も言わないままだと、見ている側は

「この子は一体どうしちゃったのかしら」

と不安になります。

そして、うつになった本人は

「こんな駄目になった自分はどう思われてるんだろうか」

とネガティブになって苦しみます。

 

 

しかし、ただ会話量を増やせばいいというものでもありません。

ここで必要になるのは「お互いの内面にまで立ち入った会話」です。

どう苦しんでいるのか、どんな思いを抱えているのか。

 

しかし、日常の会話のほとんどは、ごく「表面的」な内容になりがちです。

今日何があったとか、晩ごはん何にするかとか。

家族間というのは、どうしても「内面の深い部分」まで立ち入った会話は少なくなってしまいます。

 

 

逆に行きずりの人、会う機会が少ない人にほど、打ち明け話はしやすいものです。

それは、相手に「支配される」恐れが少ないからです。

 

自分についての内面の情報を開示することは、「相手に弱みを晒すこと」になります。

そして、

「弱みを握った人」が強者 =支配する側

「握られた側」が弱者 =支配される側

という構図が生まれます。

 

そんなことを日常的にやっていては、力関係のバランスが崩れてしまいます。

だから、家族のように、接する時間が長い相手ほど、

「表面的」に付き合っていかなければ疲れてしまうのです。

 

 

家族間で「重い」内容について話し合うときって、疲れるでしょ。気が乗らないでしょ。

だからそういう「重い」「重要な」内容は会話の中で出てこないのです。

だから「重要な」ことに限って、「誤解」や「思い込み」が生じやすいのです。

 

 

「思い込み」を解く方法

そういった会話不足からくる「誤解」「思い込み」は、

「会話」でしか解消できません。

 

つまり、「自己開示」をし、「相手の本心を聞き出す」ということです。

 

 

しかし、「うつ」の人にとって、「相手の本心」を聞こうなんてのは拷問に近いことです。

「ねえ、私のことをどう思ってる?」

なんて、絶対に聞きたくないものです。(私はそうでした。)

だって、

「あんたなんて“人間失格”だと思ってるよ」

みたいな嫌な答えを言われるに違いない(と思い込んでいる)からです。

 

「そんなこと聞いたって、どうせ嫌な気持ちになるだけだから、聞かないほうがマシ」となってしまいます。  

 

 

「自己開示」だって、「うつ」のときはやりたくないものです。

自分の「うつ」の苦しみについて打ち明けたって、

「甘えたこと言うんじゃない」とか

「そんなしょーもないことで悩んでんの?」

と、自分の苦しみを真剣に受け止めてくれないのではという不安があるからです。

また、「ただでさえ情けない姿をさらしているのに、これ以上自分の“弱さ”をさらすなんてしたくない」

という意地があったりもします。

 

 

じゃあ、どうすればいいのか?

話を切り出すときには、

相手に受け入れてもらえるかどうか、

自分が相手を受け入れられるかどうか、

「賭け」に出るしかないのか?

 

そうです。

 

「分かってほしい」

「受け入れてほしい」

と願っても、それが叶うかは分かりません。

 

相手にどんな答えを期待しようが、他人は思い通りになるものではありません。

人間が人間にぶつかっていくときには、傷つくリスクが必ずあるのです。

 

 

「うつ」のときには、あまり「傷つくリスク」を負うのはおすすめしないので、

自分のこと、うつのこと、症状のことなどを話すタイミングは、

「話したくなったタイミング」で良いと思います。

 

 

そして、伝えるときは

「とにかく苦しいの!」というふわっとした伝え方よりも、

「息苦しい感じがして、体が重い。“自分には生きる価値がない”とばかり考えてしまって、苦しい」

などと、具体的に症状を挙げると相手にも伝わりやすいです。

 

 

家族への誤解を解いた体験談

私は「ちゃんとしてないと親に愛されない」とずっと思い込んでいて、

親から愛されるべき自分でいようともがいていました。無自覚で。

 

 

「ちゃんとする」とは、

生活習慣をきちんとする。

家事も勉強も仕事も怠らずきちんとする。

大学を出て良いところに就職する。

回り道をしたり道を外れたりすることなく、正統な生き方をする。

道徳的に清く正しく生きる。

…と、そんな感じのことです。

 

 

それができないなら「娘として認めてもらえない」「勘当される」とまで思っていました。

 

そう思うようになったのは多分、プライドが高くて真面目な性格のせいです。

その証拠に、同じように育てられた妹を見ても、そんな思い込みがあるようには見えません。

 

 

しかし、「ちゃんとしてないと愛されない」なんてことはありませんでした。

 

うつになって大学を2年留年し、勉強も家事も就活もできない状態でしたが、

私は勘当されることはありませんでした。

勘当されるどころか、うつになる前と何も変わらない態度で接してくれました。

 

 

 

うつが進行し、自殺衝動が出てきたあたりで、

わたしはようやく両親に「うつの症状の苦しみ」について打ち明けました。

「これ以上悪くなりようがない」と思って、ほぼ捨て鉢の覚悟で。

 

死にたいという気持ちが消えないこと。

胸が激しく痛み、刃物を体のどこかに押し当てていないと耐えられないこと。

 

母はわたしと同じように涙を流し、抱きしめて

私のことを「一番大事」な存在だと言ってくれました。

父は医師なので、抗うつ薬をさっと処方してくれました。

 

 

これが、「こんなダメになった私でも受け入れられるのだ」と知った瞬間でした。

心の中の氷が溶け出したような気がしました。

 

 

心の底では、ずっと「駄目な自分を受け入れてくれる場所」を求めていたのです。

 

その証拠に、「私がだめになっても、愛してくれますか?」という当時の落書きが残っていました。

 

 

でも、心に思っているだけでは、現状維持のまま変わらない。

思い切って両親に「私はこんなふうに苦しんでる」と伝えてよかったと思います。

 

 

あのとき自殺するほど苦しい思いをしていなかったら、

親の思いを確かめる機会もなく、

「ちゃんとしてないと愛されない」と誤解したままだったかもしれません。 

 

 

うつになることって、悪いことばかりじゃないかもしれません。

 


 

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このブログの運営者

生きづらさの解消方法・幸せに生きる考え方・うつ病の治し方をお伝えしています。
過去にうつ病になり、考え方を変えることで完治させた経験あり。

典型的なINFP人間。
モットーは「自分の幸せを第一に生きる」。
現在会社員をやりながらADHDの夫と暮らしています。

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